村上龍『心はあなたのもとに』 〜感想〜
“I’ll always be with you, always”
僕が村上龍にハマったきっかけになった本です‼️
まず、最初に思ったのは
タイトルがいい‼️
『心はあなたのもとに』なんていい言葉なんだろう…
とっても心が安らぐ言葉。
タイトルに惹かれて購入しました。
内容はというと、
西崎という50歳近い投資家が風俗嬢の香奈子に恋をしてしまう物語。
おっさんが風俗嬢に恋をする？？変な話と思うかもしれませんがそこはグッとこらえて読みました。
主人公の西崎は全てにおいて完璧な人間で、常に冷静な分析をする。それは恋愛においても例外ではない。香奈子との恋愛を通して芽生える感情を冷静に分析し、対処していくところは実に投資家っぽい。
例えば、京都で騎馬警官を見たときに
「きっと仕事に誇りを持っているんだろうなあって、そういう仕事っていいなあって、そう思ったの」という香奈子の発言に対して西崎はこう解釈している。
「あなたは本当によくしてくれてるけど、わたしが風俗で働いていることをどう思っているんですか。香奈子が言ったのは、そういう意味のことだった。わたしのことを好きなのはわかるし、だからこそ疑問なんだけど、わたしが風俗で働いていることがあなたは嫌じゃないのですか。そう言いたかったのだ。」
まさにその通りだ！！香奈子はそう言いたいに違いない！！僕は心の中で叫んでしまいましたw
そして、ここからが西崎さんのすごいところ。西崎さんは香奈子に対してこう返すのです。
「そうだね、あの騎馬警官は確かに格好良かった。でも、どうなのかな。あの警官が自分の仕事に誇りを持っているかどうかは、他人にはわからないし、あと、これは個人的な考えで、一般的じゃないと思うけど、仕事に誇りなんてものが本当に必要なのかどうか、俺は疑問なんだよね。いや、俺が金融の仕事をしているから、こんなことを言っているわけじゃないよ。それで、俺が信頼するアメリカ人の有名な投資家が言ったんだけどね。人生でもっとも大事なことは、殺されないこと、つまり、死なないことで、二番目が楽しむこと、そして三番目が世界を知ることだってあるとき教わったんだよ。死なないっていうことは身も蓋も無い言い方をすると、何とか食っていくことだと思う。仕事に誇りを持つみたいなことより食っていくことが重要ってわけじゃなくてさ、基本的ってことだけどね。」
こんなこと言われたら誰でも惚れてまうわ！！
特に「人生で最も大事なことは、殺されないこと、つまり、死なないこと」という言葉にジーンと来てしまいました。
香奈子はこれを聞いて栄養士の学校に行くことを決心するのです。
他にも西崎と香奈子の名シーンがなんども出てきます！！
頭のいい人の思考ってこうなってるのか〜って思います。自分がすごい頭が良くなった錯覚が起きてすごい優越感に浸れるw
皆さんもぜひ読んでみてください
ちなみに、村上龍の本は電子書籍の購入がおススメです！！
理由は、なんと本なのにアニメーションがついてる！！
例えば香奈子から届くメールは…
⬆︎のように本当にメールみたいに来て、クリックしてみると…
本物のメールみたいに開ける！！
さすが村上龍！！細かいところまで凝ってますね〜
まるで香奈子とメールをしている気分になってしまいますよ。
